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南アフリカでは冬の訪れとともに魚が移動をはじめ、クワズールー・ナタール州の沖合のあちこちで「イワシがやってきた!」という歓声があがります。
このイワシの魚群は毎年、ケープ沿岸の産卵場から南アフリカの東海岸へ30日以上かけて一斉に北上します。この海中の大移動には数多くの漁師やサメ、大型の魚、海洋哺乳類、鳥が群がり、きらきらと輝く小さな銀色の魚をむさぼります。

冬の間にイワシの大群がクワズールー・ナタール州の沿岸へと泳いでくる理由はまだ解明されていませんが、毎年同じ事象が繰り返されています。5月になると、数百万匹ものイワシの大群がケープ沿岸の冷たい海からクワズールー・ナタール州の暖かい海へと移動をはじめ、魚が集まるにつれて沖合の海を銀色に染めていきます。
サーディンラン
このイワシの大群を観察したければ、綿密な旅行計画を立てる必要があります。イワシは7月末までには、沖合の真っ青な海へと突然姿を消してしまいます。
ハーマナス(Hermanus)のホエールウォッチングやナマクワランド(Namaqualand)の野生の花と同様に、サーディンランは南アフリカで人気の風物詩として知られており、南アフリカ国内や海外から大勢の旅行者が殺到します。陸上、海上、海中におけるこれらの自然現象は一生に一度は見ておきたいものとして人気を博しています。
イワシの群れの多くは巨大な規模で形成され、沿岸の数キロにわたって広がります。これに伴って海面と海中にも餌を奪い合う捕食者の群れが集まってきます。
クロヘリメジロザメ、ドタブカ、カマストガリザメなどのサメの群れは、銀色に輝く獲物が織りなす海中の道に続いてイワシをむさぼります。海洋哺乳類や大型の魚たちもこれに参加して獲物を追います。ミナミアフリカオットセイ、ザトウクジラ、ミンククジラ、何千頭ものイルカたちもニシンダマシ、ガリック、ギールベック(ニベ科の魚)などの魚の群れに一気に襲いかかって、無尽蔵に湧き出てくるイワシをかきこみます。
賢いイルカたちは牧羊犬のように、イワシを「ベイト・ボール」と呼ばれる高密度に凝縮された魚群に囲い込む戦術を用います。イルカは水中で力を合わせ、イワシの群れの下でぐるぐる旋回しながらベイト・ボールを海面近くへと押し上げていきます。
イワシが海面までやってくると、鳥たちが空から急降下して海中へと突っ込み獲物を捉えていきます。ケープシロカツオドリ、鵜、カモメなどは容赦なく空からの攻撃を繰り広げます。
イワシの群れが海岸近くを移動する地域では、大物狙いの漁師やイワシを好物とする地元の人々が海に入って、それぞれ自らの取り分を確保します。
未だに解明されていない自然界のミステリーでもあるサーディンラン現象。陸・海・空の生物たちが繰り広げる一大スペクタクルは一生に一度は体験したい海中アドベンチャーとして人気を集めており、世界各国からの旅行者が海岸や船上から、シュノーケリングで海にもぐって、サーディンランを目撃しています。
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